テレワークでの情報共有が難しく感じたら:誤解を防ぐ簡単な工夫とアナログな方法
テレワークが働き方の選択肢として広がる中、これまで当たり前だったオフィスでのやり取りが難しくなり、情報共有や確認に戸惑いを感じることがあるかもしれません。隣の席の同僚に気軽に話しかけたり、会議室で顔を見ながら打ち合わせをしたりといった機会が減り、文字や声だけのコミュニケーションが増えることで、「本当に伝わっているだろうか」「相手の意図が汲み取れているだろうか」と不安になったり、誤解が生じたりすることもあるかと思います。
このような非対面での情報共有の難しさは、テレワーク環境で多くの方が経験することです。しかし、いくつかの簡単な工夫を取り入れることで、このような不安を和らげ、よりスムーズに、安心してやり取りを進めることができるようになります。
非対面コミュニケーションで生じやすいこと
オフィスでの対面での会話では、言葉だけでなく、表情や声のトーン、身振り手振りなど、さまざまな情報が伝わります。これにより、相手の気持ちや状況を推測しやすく、誤解が生じにくい側面があります。
一方、テレワークでよく利用されるメールやチャット、Web会議といったツールでは、伝わる情報が限られます。特に文字だけのやり取りでは、感情や微妙なニュアンスが伝わりにくく、意図しない方向に受け取られてしまう可能性があります。また、相手がいつメッセージを読むか分からないため、すぐに確認や返信が得られず、次に進めないといったもどかしさを感じることもあるかもしれません。
このような状況に対し、どのように向き合い、工夫していくことができるでしょうか。
誤解を防ぐための簡単な工夫
まずは、情報を「伝える側」として意識できる簡単な工夫をご紹介します。
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伝えたいことをシンプルにまとめる メッセージを送る前に、一番伝えたいことは何か、相手にどうしてほしいのかを整理してみましょう。要点を最初に提示し、その後に詳細を続ける構成にすると、相手は内容を把握しやすくなります。長い文章は途中で読むのが億劫になったり、重要な点を見落としてしまったりする可能性がありますので、可能な範囲で簡潔にすることを心がけてみてください。
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具体的に伝える 「あれ」「それ」といった指示代名詞の使用は避け、「〇〇の資料」「△△の件」のように具体的に示しましょう。「いつまでに」「何について」「どのような状態にしてほしいのか」など、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して情報を整理すると、相手は間違いなく理解しやすくなります。
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不明な点はないか、相手に確認を促す メッセージの最後に、「ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください」といった一文を添えることで、相手は質問しやすくなります。また、複雑な内容を伝えた後には、「この内容で問題ないでしょうか」などと、相手からの確認や同意を求める一文を入れることも有効です。
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重要なことは複数の方法で確認する 特に重要度の高い情報や、期日が決まっているお願いなどについては、チャットで送った後にメールでも念のため連絡を入れる、あるいはWeb会議で口頭でも確認するといった方法も考えられます。ツールによって情報の見落としが発生することもありますので、異なるツールで二重、三重に確認することで、より確実に情報を共有することができます。
アナログな方法やデジタルに頼りすぎない工夫
デジタルツールに慣れないと感じる場合や、文字だけのやり取りでは限界があると感じる場合には、アナログな方法やデジタルに過度に頼らない工夫も有効です。
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複雑な内容は電話で話す 文字やチャットで説明するのが難しい、あるいは誤解が生じやすそうな複雑な内容については、電話や音声通話機能を使って直接話す方が早い場合が多くあります。声のトーンや間合いなどから相手の理解度を測ることもでき、その場で質問や疑問を解消しやすいというメリットがあります。
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簡単なメモを手元に置いて整理する Web会議中にメモを取るのが難しいと感じる場合は、パソコンの横にメモ帳とペンを置いておくのも良い方法です。聞いたことや確認事項を簡単に書き留めることで、情報が整理しやすくなり、後でメッセージを送る際に要点をまとめやすくなります。
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重要事項は手書きで確認リストを作る 依頼されたことや自分が対応する必要のある重要な事項については、手書きのToDoリストや確認リストを作成するのも効果的です。デジタルツールで管理することもできますが、手で書くことで頭の中が整理されやすく、物理的に目につく場所に置いておくことで忘れにくくなります。
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事前に要点を整理してからツールを使う メッセージを作成する前に、伝えたい内容や質問したいことを手元で箇条書きにするなど、事前に情報を整理する時間を持つことも大切です。頭の中で整理できていないままメッセージを書き始めると、内容が分かりにくくなったり、伝えるべき情報が漏れてしまったりすることがあります。
相手への配慮も忘れずに
情報共有は、伝える側と受け取る側の双方向のやり取りです。自分が情報を伝えるだけでなく、相手が情報を受け取り、理解し、返信するまでの時間や状況を考慮することも大切です。
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相手の状況を慮る すぐに返信がほしい場合でも、相手が他の業務で忙しい時間帯かもしれない、休憩中かもしれないといった想像力を持つことは、円滑なコミュニケーションにつながります。緊急でない連絡は、相手の状況を考慮して送る時間帯を選ぶことも検討してみましょう。
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すぐに返信がなくても焦らない心構え メッセージを送った後、すぐに返信がないと不安になることがあるかもしれませんが、相手には相手の都合や状況があります。すぐに返信がないからといって、催促のメッセージを立て続けに送ると、かえって相手の負担になってしまうこともあります。緊急の要件でない限りは、少し待ってみる心の余裕を持つことも大切です。
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感謝の言葉を伝える 情報を受け取ったことへの感謝や、対応してもらったことへのねぎらいの言葉を添えることは、お互いの気持ちを良い状態に保つ上で非常に効果的です。「ありがとうございます」「助かりました」といった一言があるだけで、温かいやり取りになります。
まとめ
テレワーク環境での情報共有や確認には、これまでとは異なる難しさがありますが、ご紹介したような簡単な工夫を少しずつ取り入れることで、戸惑いや不安を軽減し、スムーズに仕事を進めることができるようになります。
一度に全てを完璧にこなす必要はありません。まずは「伝えたいことをシンプルにまとめる」ことから始めてみる、あるいは「重要なことは手書きでメモする」といった、ご自身にとって取り組みやすそうなことから試してみてください。
大切なのは、一人で抱え込まず、無理なく続けられる方法を見つけることです。コミュニケーションの取り方に工夫を凝らしながら、心身ともに健康に働き続けられるように、ご自身のペースで調整していきましょう。