テレワークで一人で考え込まずに済むには：簡単な相談のヒント
テレワークで「誰に聞けば…」と一人で考え込んでしまうことはありませんか
テレワークでの働き方にも少しずつ慣れてきた頃かもしれません。しかし、対面で働いていた時には当たり前だったことが、リモート環境では難しく感じられる場面もあるのではないでしょうか。その一つに、「ちょっとした質問や相談」があります。
オフィスであれば、席が近い同僚にすぐに声をかけたり、休憩中に気軽に質問したりすることができました。しかし、テレワークではそうした機会が減り、「こんな簡単なこと、わざわざチャットやメールで聞いても良いのだろうか」「相手は忙しいだろうから遠慮しておこう」と、一人で考え込んでしまうことがあるかもしれません。
特に、これまで長年対面でのコミュニケーションを中心としてきた方にとって、テキストベースのやり取りやオンラインでの会話に慣れるには時間がかかることもあります。そうした戸惑いから、困りごとを抱え込んでしまい、結果として仕事が進まなくなったり、不要なストレスを感じたりすることにつながる場合があります。
一人で抱え込まず、周りと連携しながら仕事を進めることは、テレワークでも心身ともに健康に働くために大切な要素です。ここでは、テレワーク環境で気軽に質問や相談をするための、無理なく試せる簡単なヒントをいくつかご紹介いたします。
一人で抱え込みがちな状況とは
具体的に、どのような時に一人で考え込んでしまいがちでしょうか。例えば、以下のような状況が挙げられます。
- 資料の中の「ここ、どういう意味だろう？」といった、すぐに確認したい小さな疑問
- 普段使わないデジタルツールの基本的な操作方法が分からない
- 自分の認識が合っているか、誰かにちょっと確認してもらいたい
- 今後の進め方について、漠然とした不安があるが、どこから相談すれば良いか分からない
- エラーが出たが、何が原因か全く見当がつかない
これらの状況は、対面であればすぐに解決できたかもしれません。しかし、テレワークでは「わざわざ相手の時間を取らせてしまうのでは」「質問の仕方が分からない」と感じ、後回しにしてしまったり、結局一人で何とかしようとして時間がかかってしまったりすることが少なくありません。
なぜテレワークだと相談しにくく感じるのでしょうか
テレワークで相談のハードルが高く感じられる背景には、いくつかの理由が考えられます。
- 対面での非言語的な情報が得にくい： 相手の表情や声のトーン、周りの雰囲気など、オフィスでは自然に感じ取れていた情報がないため、話しかけるタイミングや、今話しかけて良いかどうかが判断しにくい場合があります。
- 「記録に残る」という意識： チャットやメールはやり取りが履歴として残ります。「こんな簡単なことも知らないのかと思われたらどうしよう」と感じてしまうことがあるかもしれません。
- 相手への遠慮： 相手が今何をしているか分からないため、「話しかけて中断させてしまったら申し訳ない」という気持ちが強く働くことがあります。
- 質問の仕方に慣れていない： 対面では曖昧な表現でも伝わったことが、テキストでは難しく、どのように質問内容を整理して伝えれば良いか迷ってしまうことがあります。
しかし、これらの理由から質問や相談をためらってしまうと、結局後で大きな問題になったり、解決までに余計な時間がかかったりする可能性があります。困っていることを早めに共有することは、仕事全体の効率を上げ、結果としてチームや会社全体の利益にもつながる大切な行動です。
一人で抱え込まないための簡単なヒント
では、テレワーク環境で「困ったな」と感じた時に、一人で抱え込まずに済むためには、どのようなことができるでしょうか。無理なく試せる簡単なヒントをご紹介します。
1. 困りごとを「見える化」してみる
まず、何に困っているのかを書き出してみましょう。パソコンのメモ帳機能を使うのも良いですし、使い慣れた紙とペンで箇条書きにするのも有効です。
- 具体的に何が分からないのか？
- どこまで自分で試してみたか？
- 誰に聞けば一番早そうか？（担当者、詳しい人など）
- 何を知りたいのか？（例：「〇〇の方法を知りたい」「△△が正しいか確認したい」）
このように整理するだけでも、頭の中がクリアになり、「誰に、何を」聞けば良いかが分かってきます。
2. 「完璧な質問」を目指さない
「質問するなら、きちんと状況を説明して、相手がすぐに理解できるように完璧に準備しないと…」と考えてしまうと、それ自体が負担になってしまいます。特に最初のきっかけは、そこまで完璧でなくても構いません。
例えばチャットであれば、「〇〇の件で少し教えていただけますでしょうか？」といった短いメッセージから始めてみるのです。相手から「どうしましたか？」と返信があれば、そこから具体的な内容を伝えれば良いのです。もちろん、ある程度情報をまとめることは大切ですが、必要以上に身構えないようにしましょう。
3. 気軽な「相談の入り口」を作る
「相談するぞ！」と意気込むのではなく、「ちょっと確認」や「情報共有」といった軽い気持ちで切り出せる入り口を作りましょう。
- チャットでの短いメッセージ:
- 例：「〇〇さん、△△の件で確認したいことがあるのですが、今少しお時間よろしいでしょうか？」
- 例：「〜の資料を拝見しました。一つ質問があるのですが、後ほどお伺いしてもよろしいでしょうか。」
- 例：「この作業で〇〇という状況になったのですが、これはどう対応するのが良いでしょうか？」 このように、丁寧なクッション言葉を添えつつ、まずは「質問したい」「困っている」という意思表示を気軽に送ってみましょう。
- メールでの工夫:
- 件名：「【〇〇の件で質問】〜について」のように、内容がすぐに分かるようにする。
- 本文：「〜という状況で困っています」「〜について教えていただきたくご連絡しました」など、目的を最初に明確に書く。
- 質問内容を箇条書きにすると、相手も理解しやすくなります。
- 「お返事はご都合の良い時で構いません」といった一文を添えると、相手への配慮が伝わります。
- 短いオンライン会議を活用する: テキストだけでは説明が難しい操作や、複数の質問がある場合は、「もしよろしければ、5分だけ画面共有しながらご相談できませんでしょうか？」と提案してみるのも有効です。短い時間であれば、相手も対応しやすい場合があります。
4. アナログな方法も組み合わせてみる
デジタルツールでのやり取りに抵抗がある場合は、電話など、昔から慣れている方法も組み合わせてみましょう。部署内で「この種類の相談は電話でもOK」といったルールを決めておくと、より相談しやすくなるかもしれません。
5. 自分から「助け合い」の雰囲気を作る
自分が質問や相談をしやすい雰囲気を作るために、自分自身も周りからの簡単な質問には快く応じる姿勢を持つことも大切です。「〜の操作で困っている人がいたら、いつでも聞いてくださいね」などと、自分から声をかけてみるのも良いでしょう。お互いに助け合う関係性ができれば、相談することへの心理的なハードルが下がります。
まとめ
テレワークにおいて、困りごとを一人で抱え込んでしまうことは、決して特別なことではありません。環境の変化に伴い、誰でも感じる可能性のある戸惑いです。
大切なのは、「一人で何とかしなければ」と無理に頑張りすぎないことです。今回ご紹介したように、まずは困りごとを整理してみたり、「完璧な質問でなくても良い」と気楽に構えてみたり、「少しお時間よろしいでしょうか」といった短いメッセージから始めてみたりと、無理なくできることから試してみてください。
周囲に質問したり相談したりすることは、決して恥ずかしいことではなく、むしろ仕事をスムーズに進め、自分自身の負担を減らすための賢明な方法です。一人で考え込まず、周りと連携しながら、心身ともに健康な状態でテレワークを続けていきましょう。