テレワークで集中できないと感じたら：自宅でできる簡単な環境整備と小さな工夫
テレワークが働き方の一つとして定着してまいりました。一方で、ご自宅で仕事に取り組む際に、「どうも集中できない」「気が散ってしまう」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。特に、長年オフィスで集中して業務に取り組むことに慣れてこられた方にとっては、自宅という環境での仕事に難しさを感じることもあるかと存じます。
ご自宅での仕事は、オフィスとは異なり、生活空間と仕事空間が一体となっている場合が多いものです。そのため、さまざまな要因で集中力が途切れてしまうことがあります。例えば、家事が気になったり、家族の動きや音に意識が向いたり、つい休憩が長くなってしまったりといったことが考えられます。
こうした状況に対して、完璧な仕事部屋を用意したり、高価なツールを導入したりする必要はありません。今ある環境で、少しの工夫をすることで、集中しやすい状況を作ることが可能です。ここでは、無理なく、どなたでも簡単に始められる環境整備のヒントや、集中力を維持するための小さな工夫をご紹介いたします。
集中を妨げる要因と向き合う
まずは、何がご自身の集中を妨げているのかを少し振り返ってみましょう。 物理的な環境としては、以下のような点が挙げられます。
- 作業場所が決まっていない、あるいは作業場所が散らかっている
- 周りの音（家族の声、外の音など）が気になる
- 視界に仕事に関係のないものが入る
- 照明が暗い、あるいは眩しい
また、心理的な要因としては、以下のようなものがあるかもしれません。
- いつでも休憩できるという気持ちから、かえって集中できない
- 仕事と休憩、プライベートの区別が曖昧になる
- 他のことが気になってしまう
- 漠然とした不安や焦りを感じる
ご自身の状況に合わせて、できることから対策を考えていくことが大切です。
自宅でできる簡単な環境整備のヒント
物理的な環境を整えるための、手軽な方法をいくつかご紹介します。
作業場所を決める、あるいは一時的な区切りを作る
もし可能であれば、仕事をする場所を固定することが望ましいですが、難しければ、作業を始める際に「ここからここまでが仕事スペース」と意識するだけでも違いがあります。リビングの一角やダイニングテーブルなど、決まった場所を使うようにします。
また、視覚的な区切りを作るのも有効です。簡単なものであれば、パーテーションの代わりに大きな本や観葉植物を置いたり、作業中にだけ使う布やカーテンを用意したりするだけでも、視界を遮り、気持ちの切り替えにつながることがあります。
周囲の音対策をする
家族がいる時間帯や、工事などの外部の音が気になる場合は、静かな時間帯を選んで集中力の必要な作業に取り組む、耳栓やノイズキャンセリング機能のないシンプルなヘッドホンで音を和らげる、といった方法が考えられます。音楽を聴く場合は、歌詞のないBGMを選ぶと、集中を妨げにくいと言われています。
視界を整理する
作業場所の周囲が散らかっていると、どうしても気が散りやすくなります。仕事に関係のないものは、視界に入らない場所に移動させるだけでも効果があります。デスクの上は、作業に必要なものだけを置くように心がけます。
照明を意識する
適切な明るさは、集中力に影響します。自然光が入る場所で作業するのが理想ですが、難しい場合は、手元を明るく照らすデスクライトを使用するなど、目への負担を減らす工夫をしましょう。ただし、光が強すぎたり反射したりしないよう注意が必要です。
集中力を持続させる小さな工夫
環境整備と合わせて、日々の習慣に小さな工夫を取り入れることも有効です。
作業時間と休憩時間の区切りをつける
時間を区切って作業に取り組むことは、集中力を維持するために役立ちます。例えば、「この時間まではこの作業に集中する」「〇分作業したら△分休憩する」といったように、ご自身の無理のない範囲で時間を設定してみましょう。難しい方法を考えるよりも、「次は休憩時間だ」という目標を持つことで、目の前の作業に集中しやすくなります。
始業と終業のルーティンを作る
仕事の始まりと終わりに、簡単なルーティンを取り入れることも、オンオフの切り替えに役立ちます。例えば、始業前に軽いストレッチをする、仕事用のノートを開く、終業時にパソコンをシャットダウンしたら軽い運動をする、といったご自身なりの習慣を決めてみましょう。
誘惑になりうるものを遠ざける
スマートフォンやテレビなど、集中を妨げやすいものは、作業中は物理的に遠ざけておくことを検討しましょう。「休憩時間になったら触る」など、ルールを決めておくのも良い方法です。
定期的に気分転換を取り入れる
長時間同じ姿勢で作業を続けると、心身ともに疲れやすくなります。意識的に短い休憩を取り、席を立って少し歩いたり、飲み物を淹れたり、窓の外を眺めたりと、軽い気分転換を挟むことで、その後の作業効率が変わってきます。
まとめ
テレワークでの集中に関する課題は、多くの方が感じていることです。今回ご紹介した内容は、どれも大掛かりな準備や費用がかかるものではありません。まずはご自身の状況に合った、簡単で取り組みやすいものから一つずつ試してみてはいかがでしょうか。
環境整備も工夫も、一度に全てを行う必要はありません。少しずつ改善を重ねることで、ご自身にとって最も集中しやすい働き方を見つけていくことができるでしょう。心身ともに健康な状態で、テレワークを続けるためのヒントとして、これらの情報がお役に立てれば幸いです。